2019.12.02

 

書こうと思ったきっかけは、なんだったろうか。

引っ越して、新しい本棚を組立て、古い本たちを納め、写真集の表紙を眺めたり。

千葉にある亡き祖母の家をリノベーションに毎月通い、その度に全身が筋肉痛になって翌朝を迎えたり。

息子は来月で3歳になる。彼と遊ぶのは愉快だ。すでに新しい友達ができたような気もしている。

あと10年もしたら、きっと仲の良い姉妹のようになっているかもしれない。兄弟より、ずっと仲が良さそうじゃないか。

須藤がユニゾンのこうすけとバンドを組んだらしい。らしいと言うにも白々しいのだけど、発表の前の日にこうすけからメールがきた。

僕はすぐに「じゃあ僕は、貴雄と何を始めようか」とでも返信をしようと思えたのだけれど、思い留まって、それから1週間過ぎても思い留まってしまったまま、他に何も感想を持つことが出来なくなってしまった。

冬がきた。

こんなふうに、自分の思いの丈を書くことって、本当に楽なことだ。いつか、久美子さんが金夜で詩に書いた「排泄」によく似ている。

そもそも、僕はキャッチボールを望んではいなかった。実際野球は苦手で、親友とよく行ったバッティングセンターで彼は110km/hの球のバッテリーの扉を開けたが、僕は90km/hだ。

金属バットが重いせいで、空振りをした後の格好が余計に悪かった。ホームベースの左側で少しはに噛みながら、歯を見せたまま一回転をした。バツの悪いポーズを見せるので精一杯だった。

11月14日に、僕が唯一Twitterでフォローしている旧友の、6回目だったかのお墓参りだった。例年、秋晴れが続いている。今年は初めて妻が同行してくれた。

彼が僕から受け取った、最後のMessageはこうだ。

<ぼくは、どんな歌詞を書いたら良いんだろう。 なにひとつわかっちゃいない>

そして、読んでもらえなかったMessageはこうだ。

<自分ソロアルバムの新作が間もなく出来るのだけれど、良かったら聴いてくれるかな。12月17日に発売になるんだ。>

彼は中学時代に初めて組んだバンドのリーダーで、ギタリストだった。僕は、彼の足元にも及ばなかった。そして、彼は白血病になり、今でも死に続けている。

書こうと思ったきっかけは、なんだったろうか。

そういえば、親友がふたたび花火師になった。これは素晴らしいことだ。

生きていて、新しい朝を迎えに行くなら、

それは素晴らしい。

綾部健司