1月 備忘録
2019/01/30(水)
秋に収穫を終えた畑の、
霜柱を踏むように、
空々しい年末があった。
新年のお雑煮と共に、
喉をぐいと言わせて、
呑み込んでしまったあとは、
朝日と暮がじつにテンポ良く、
晴天の客船に乗った
異国の碧味を感じている。
Kenji Ayabe
…
1月の豆
代官山 FACON
ミャンマ:シャン州ユアンガン
パプア・ニューギニア:ガウリケニー農園
エルサルバドル:シベリア農園

いつから珈琲を飲むようになったのだろう。
どこのレコーディングスタジオにある、
あの放置されて焦げ切った不味いやつを飲む事も
そんなに苦ではなかった。
…
ジェームスアンドチャーリーのTour
福岡・広島・岡山の公演があって、
僕の演奏時間など3日間合わせても1時間30分程度。
ピカソの描いた『玉乗り曲芸師』に
似た移動演奏家のような気分で、
旅情を嗜むことに忙しかった。

撮影地:岡山駅
美術館を訪れたり、
園芸地を歩いたり、
美味いを食べたり。
朝の散策を、今住んでる街でやるほど、
ここは観るものがない。
目をやる自然があるのがいい。
心奪われる景色が。

撮影地:不明(高速道路)
…
御徒町凧さんお朗読会
代々木八幡にて高橋久美子さんも出演する会に、
久美子さんにお引立て頂いて初の朗読。
久美子さんが御徒町さんに僕を紹介するとき、
「友達で詩人の綾部くんです」
と言った。

左から:高橋久美子さん 御徒町凧さん 筆者
いや、いやと、
すべてを言い訳(註釈)したいご紹介に預かり、
※実際にはほくそ笑んでいる
本番では3回も出番を頂いたりと、
(最後の回では演ってしまいましたが、、)
平成の自分史に残る1日を過ごした。

久美子さんと待合せの途中、
近くを散歩してると、
美味しそうなパン屋の看板。
あとで久美子さんに有名店と聞きました。
ここで、妻と息子にお土産を購入。
…
息子の2歳の誕生日に
毎年の1月に館山マラソンに出走する家族を
沿道で 応援するための旅行にかこつけて。
早朝、陽が昇る前に起きて、
ガラス張りの食堂で冬の
引き締まった光を眺めた。
寒さを感じる皮膚の、
若干の内面に
自分の影に隠れていた、
内省的な”強さ”が覆い張って行くのが分かった。

地球が”新しさ”の意味を、
書物のように教える。
…
新年に友人と
「今から会おうよ」
昔、言えていたセリフを、
友人が代わりに使ってくれる嬉しさ。
気兼ねなく言われると、
36歳になった今も、
孤独的な開放感に浸ることができて、
車の運転もいつぞやドライブに変わる。

粂絢哉
人はさみしい生き物だから、
お墓に入っても、
寄り添っている。
私はさみしい生き物だから、
本を読み、音楽に
耳と縁を傾けている。
Kenji Ayabe
11月 備忘録
2018/12/11(火)
広葉樹の落ち葉を踏むことは、
記憶に住んだ、過去の私を
愛でるという行為に 似ている。
…
■11月の豆
代官山 FACON
エチオピア:ジンマ・フンダオリ
エルサルバドル:シベリア
ホンジュラス:ラ・フォルトゥナ

初めての人と、知人と会うとき、テーブルの上に珈琲が乗っていて欲しい。
それは、初秋の芝生に水をさすことに似ている。
…
■インゲヤード・ローマン展
中国から来日し、多摩美術大学へ入学し、
陶器を制作している20歳の女の子から突然、
ローマン展のご招待券を頂いた。

近代美術館 民芸館
ローマンさんが作り出す器の哲学に、
人としての幸せの在り方を、
もう一歩踏み出す力を頂いた。
建物自体もとても可愛いらしく、
北海道が恋しくなった。

途中の散歩道となった、
北の丸公園の樹々が、
見事に紅葉色付いていて、
思いかけず足を止めては、
深呼吸をしていた。

-くもの巣に落ち葉がかかっている-
■11月14日
私にとって大切にしている日。
友人の御墓参りに。
毎年、かならずの秋晴れ。
■11月を振り返って
この秋は、底知れぬほど寂しさに埋もれた。
波音を聴いても、風音を聴いても、
星を眺めても、寂寞としてしまった。
それが、
この11月、自分に正直になることで、
季節は冬に巡った。
とても美しい冬に。

Kenji Ayabe
10月 備忘録
2018/11/20(火)
みかんの皮を捨てるくらい、
秋よ、三角コーナーに過ぎ去れ。
(うちに三角コーナーないれけど)
…
■10月の豆
代官山 FACON
エチオピア:ジンマ・フンダオリ
ルワンダ:ニヤマラマ
秘密の豆

オーナーが未開拓の豆を、無記名でくれた。
これが驚きの美味さ。
名付けられない自然の物って、深く素晴らしい。
…
■神奈川近代美術館から葉山へ散歩道
アアルト展を訪れるために、
車で一色海岸に沿ってドライブ。
妻とふたり、好きな場所、好きな食べ物、
好きな芸術を。

浜辺におりて、
息子のために貝殻を拾ったり、
シーグラスを集めお土産に。

…
■原美術館
リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」展に訪れる。
最初、僕は彼が美術館なんかでやらずに、
Tシャツの上でやったら良かったんだと批評的な立場だった。
何度か重ねて観ていくうちに、
それは、この品川にある原美術館という高価な土地建物に、
ある種僕は偏向的な価値を見出し過ぎていたと気付かされた。

■温暖な食事会
久しぶりに、高橋久美子さんと食事を取った。
彼女に取り持って頂いて、交遊のできた蕎麦屋におもむいた。
私たち家族とすっかり話題も尽きず、
歳を重ねて行く方向を、
優しく導いてくれる大切な言葉を飲む。

36歳になって、
個人の持つ『価値観』といのが一層、
人と関わり合いを持つために、
最も大切なコニュニケーションの肝だと感じる。
人生の意味とは、
人生の目的とは。
Kenji Ayabe
9月 備忘録
2018/10/06(土)
悲しみは、突然にやってくる
私はいま、台風の目の中にいる
そして、悲しみは未来にもある
まったく、空がずっとあるようにだ。

池袋の明日館にて
■9月の豆
毎日、どこかでCoffeeを飲んでいる。
表参道 丸山珈琲 Single Origin Store
用賀 珈琲譚
宮前平 珈琲茶房田園
羽田空港 ISETAN HANEDA

ISETAN HANEDAにて
■9月のあれこれ
ふたりで外で珈琲を飲んだのは、
私が彼をバンドに誘った10年ぶりぐらいだった。
私と須藤の間にあった、
テーブルの上の珈琲がとても美味しくて、
豆違いで2杯頂いた。

喫茶店にて
■北海道でのあれこれ
台風があり、結局18時間くらいしか滞在できず、
寂しい朝の6時半ごろ。
チェックアウトしたホテル近くの、
豊平川でお爺さん方と一緒になってラジオ体操。
おじいさんと暫し朝の会話を楽しんで、
名残惜しさも少し和らいだ札幌。

豊平川沿いにて
「STAY & Coffee」という謳い文句の、
ゲストハウス的なお店だったので珈琲を楽しみにしていた。
けれど、checkoutをAM6:00にすませたので、、。
公演が終わって、ご飯も食べ、谷川くんと別れてから、
色々なことに寂しくなって、
1時間ほどこのロビーで呆然としていた。
見知らぬ人の集まる場というのは、
随分と、気が楽なもんだ。

AM5:30ころにて
日々、こうやって過ぎて行く時間が、
『ほろほろ』と崩れ去って行くのを、
寂しく感じる。
秋だからだろうか。
枝の葉が、落ち葉となって、
胸にすっぽり空いた穴に、
秋風とともに吹かれて行く。

ゲストハウスの早朝にて
Kenji Ayabe
8月 備忘録
2018/09/01(土)
東京の街それ自体、
タイムズの駐車場みたい、
分刻みで課金される。
一歩、玄関を出れば
たちまちGoogleが、
位置情報の集金にやってくる。
…
■8月 Ayabe家の珈琲豆
代官山 FACON
エチオピア:フンダ・オリ
パナマ:コトワ・ダンカン
コスタリカ:ロス・セドロス

8月のまったくの暑さには、
身体が茹ってしまった。
電気クーラーを使わないと、住めない星になってしまった。
カート・ヴォネガット氏が生きていたら、
この熱帯騒ぎをなんと言ってくれたことか。
…
■James and Charlyの旅ごと
東京:六本木Varit
大阪:梅田Shangri-La
Guitar:粂絢哉
Bass:田口恵人(LUCY TAPES)
Drum:脇山広介(tobaccojuice)

写真:梅田Shangri-La キイ店長(手前)
忘れたくない演奏は数あるけれど、
それは食べ物みたいに、身体の一部となって、
どこかへ消えてしまう。
ただ、そういう日々で、
自分ができているというだけの事。
愛すべき日々だ。

写真:高速道路SA
■Dawa
この人と出会えて、
本当に良かった。
出なかったら、
永遠に信号が赤のままだったかも。

写真:(手前から) 筆者 / 世界のDawa / 照明さん / Shangri-Laキイ店長
■9/29の札幌の公演
さて、
9月29日
北海道の札幌でお会いしましょう。
とっても楽しみにしています。
ジェームスアンドチャーリー「Candy & New Yoke」
tour 18’ 追加公演
9月29日(土)
@札幌 musica hall cafe
open 17:00 / start 17:30
前売¥3,400 / 当日¥3,800(ドリンク別)
<<出演>>
・ジェームスアンドチャーリー
・谷川正憲
・綾部健司
【チケット販売先】
https://jamesandcharly.com/items/5b72f34a5496ff291d001ffd
素敵な日々を。
Kenji Ayabe