LETTER
降雪のドア
図書館の屋根に
薄葉紙の影をつくり
一枚の雲が過ぎる
“時”の正体を
歩道橋で眺めていた
老婆は階段を登りきった
“私”という読み物を
目次から第3章までを
干された指が さっと捲る
背中でカラスは 尖塔へと飛び
降雪のドアは 私に訪れる
白い雑音へと 跨ぐのは足
Kenji Ayabe
図書館の屋根に
薄葉紙の影をつくり
一枚の雲が過ぎる
“時”の正体を
歩道橋で眺めていた
老婆は階段を登りきった
“私”という読み物を
目次から第3章までを
干された指が さっと捲る
背中でカラスは 尖塔へと飛び
降雪のドアは 私に訪れる
白い雑音へと 跨ぐのは足
Kenji Ayabe