LETTER
鎌倉にて
わたしは、やりたいことを選んでる。
それは、繰返し行為とは
別のやりかたで。
小町通り「鎌倉いも吉館」のベンチには、
観光客の叔母さま8名が、
紫芋ソフトクリームのコーン部分に、
舌の橋を一斉にかけるところだった。
一刻も早くそこを立ち去るべきだった私は、
つまり、カメラを向けてしまった。
わたしは、彼女達との間にできた、
埋立てることのできない溝について、
イマの政治と同様の感想を求められている。
あるいはわたしは、
酒に酔ったモスキートかもしれない。
Kenji Ayabe