LETTER
辺鄙な場所にて
灰色のうちっぱなしコンクリートの壁に、
腕まくりをしながら書くLETTERは、
初夏をひんやりする効果。は、ない。
マーマレードのバターケーキの空き袋が
机の上に鎮座している。
虫が嫌いな訳でもなく、
早々に蚊取り線香を浴びて、
焼け落ちる灰をじっとみつめる。
立ち上る白い密風は
肌にそうっと冷たい。
5月が終わる。
友人が楽曲のように沢山できた。
ずっと5月であれば、
包装紙(こどく)さえ愛せる。
だから、ずっと僕は
効率主義でないと言っている。
Kenji Ayabe