LETTER
ホットドッグの一員
休憩所で腰掛けたのは、
安価な折りたたみ式のパイプ椅子だった。
一人暮らしに十分なサイズの冷蔵庫には
錆びた残り6脚が立てかけてある。
壁の時計 15:39 を眺めながら、
2年前に訪れたチューリッヒ駅で頬張った
並外れたホットドッグの一員に、
私が徐々に近づいていることが直感的に分かった。
私(ハニーマスタードたっぷり)の前を通り過ぎて行く、
白人の青い瞳に映っているのは、
彼ら本体の性生活以外には、
手記における空白の、某曜日と同じなのだから。
Kenji Ayabe