LETTER
エッジーな物語
幾つのか物語は、
氷を砕くアイスピックのように、
鋭角に始まり、
朝顔が尻窄みするように、
鈍角に終わる。
三角形の内角が180°であるように、
Aが30°であれば、
Bは60°を担い、
Cは90°を請け合う。
それはつまり、誰かが足せば、
誰かは引かなければならない。
割り振りがあるということ。
人間関係にも、季節にも、
台風にも、地震にも、
音楽家にも、給食当番にも、
山手線にも、料理にも、
テレビ番組にも、手紙にも。
つまりは、
僕は、
あなたを理解する。
なぜなら、
あなたにとっての、
僕を理解しているから。
Kenji Ayabe