5月 備忘録

 

5月というスープを飲むために、

大袈裟でなく、いつか私は

アメリカ鱒釣りのクロークの源流へと、

辿り着かなければならない。

 

 

5月19日:『わたしの生誕日に』

神奈川県にある、三浦半島西部に位置した葉山町へ車で向かう。

腰かけた椅子が、このくらい柔らかければいいなと

潮風はわたしにそう思わせた。

 

 

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撮影=粂絢哉

 

 

過去に、わたしの誕生を喜んでくれた人々をよそにして、

となりで粂くんが、世界でたったひとつだけ描かれた地図のような顔つきをすれば、

毎年同じようなよく晴れた祝祭日を過ごすことができる。

 

 

育った家族間にはたえず、砂浜の波打ち際に干上がったクラゲのような半透明な問題があった。

電話のコード線に溜まったほこりのような会話の沈黙とはちがう、

拭えない場所にときどき雨が降るのだった。

 

 

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撮影=粂絢哉

 

 

愛するには限界がある。

人間である以上、ルールを守らなければならない。

 

夢の中でさえ、

アーネスト・ヘミングウェイに会えないように。

 

 

6月29日:『6月の仕様書』

新代田FEVERにて、

U&DESIGNというバンドで演奏をします。

 

 

どんなバンドだとたずねられたら、

 

「幼少期に書いた遺言書」みたいに、

にわかに微笑みながら、でもちょっと美しいんだよ。

 

とでも、いっておこう。

 

 

 

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撮影=粂絢哉

 

 

Kenji Ayabe