ひとと ひとと

 

生き方を、整理して日常を運んでいくことなどできない

2014年12月17日、Albumが発売。

海外の新しいと言われる音楽や、雑誌IMAに載っているような写真家を追いかけたりして過ごした1年間。

歌詞を書くというより脚本を書くような気分で、登場人物が一遍に頭の中で生活を始める。共同生活というわけではないけれど、断片的な彼らは、旅先で出会った道連れと同じように、彼らに対する自分の感情というものが存在していると言えるかもしれない。

12月21日

ぴあ関西の取材にて 高橋ハジム

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大阪を訪れ、かれと2回目に会ったとき、「泊まると来なければ、うちに来たらいいよ」と言って、事実3時間後には玄関に小さな女の子用の靴がかわいらしげに並んでいるご家族の帳の中にぼくはいた。

今回にかぎっては「宿はうちでいい」と2ヶ月前にスケジュールが決まる時点からメールでそう声をかけてくれた。彼を見ていると大人になることで犠牲にすることなど、なにもありゃしないという、なんだか訳も分からない勇気が湧いてくる。

 

12月25日

表参道 18:00 音楽事務所へ向かう道すがら

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原宿を下車し、表参道方面へと歩く。人気がない都会は結構すきで(以前、週末のオフィスが建ち並ぶ品川を、夜中に歩いたときの無機物な建造物の美しさが醸す、なんともいえない寂寞感に魅了された日から)、どことなく寂しい方角の道を選ぶ様になった。

クリスマスとはいえ、仏教の両親の間で育ち、サンタが我が家にやってきた事も、プレゼントを交換することを許されたこともないぼくの眼が映すネオンは、常にピントの合わない携帯の安いカメラのレンズ越しに見る様に、他人行儀で、多くの男性が理解をやめた枕に置かれたテディベアの可愛らしさへの無気力な共感のような存在であることに違いない。

いつしか、親しい女性がプレゼントをしてくれる青春期から始まったネジ曲がった記念日を、ある種ぼくの願いを叶えてくれたアーティストマネージャーさんと過ごした3時間もの時は、厳かな幾つかの個人的な祈りを越えて、達成した大人のプレゼントを受取った日であることは特別に幸運なことだった。

 

22:30 代官山 蔦屋 Coyote「週末ニューヨークへ」

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副都心線から直通し、東横線の代官山駅で下車した。時間さえあれば可能な限り立ち寄る場所として、フィールドワークのひとつにしている居場所に寄る。

平均すると4、5時間ほど滞在することが多いが、ひとの多い日は2時間を越えた辺りで疲れがやってくる。ひとのエネルギーとはそういう得体の知れないものだ。特に気に入っているスペースに辿り着いてしまうと、「前回、気に入っていたけど買わなかった代物」がその棚ごとに出てくるほど。これ全部所有する夢は諦めた方がいいと最近は思っている。

雑誌はコンスタントに出版されるから困ったものだ。気に入ってしまったらそれって嬉しいのか悲しいのか。手に入れられる本の数っていうのは決まっているのだから。ビートジェネレーションを特集しているCoyoteを即手にしてしまった。

帰宅途中のスーパーでレジに並んでいるタイミング、仏教育ちのクリスマスはそこで終った。ビール缶はただの「お疲れさま」というメッセージに変わり、左手で持ったレジ袋は寒空の下で重たかった。

右手には、夕方頂いた白ワインも持っていたんだった。

26日  am0:07 ぼくは玄関を閉じた。

Kenji Ayabe