kenji ayabe

LETTER

祖母

 

庭に育まれた レモングラスを

か細い指が 摘み取って

ガラス製のポットへ沈める

 

日々は 彼女の発した

眩い光に照らされ

1日より さらに時間をかけて

捲られたのだった

 

今朝9時に 私の大切な

その光が死んだ

 

言の葉の 涙が

溢れかえり 息子はぼうぜんとだが

闇に包まれた 私を

見つけてくれていた

 

私は すでに 私を見つけられない

だが 妻は 私を離すことはなかった

 

自然に還っていく

あなたが通るその道に

モネの描いた園より赤い

薔薇が咲いていたらいい

 

あなたが愛した文学よりもお元気で

 

Kenji Ayabe