kenji ayabe

LETTER

声にだして 読むとき

この両耳へ 届くだけ

わずかに 声を漏らし

(薄葉紙でつつむ 仕草で)

本を ひとりきりの自分へと

読むときがある

 

目で読む わたし それと

声で聴く わたしが

「オリーブのカッティングボード」

に置いた 「くるみとレーズンの小麦パン」

みたいに大切に離れているから

 

わたしを隔てた

布1枚分の距離を

やさしさで拭っててほしい

 

Kenji Ayabe