kenji ayabe

LETTER

風呂敷をひろげる

静まる夜更けに

 

私の座っている 藤の椅子のきしむ音が鳴り

赤ん坊は夢の中 それに合わせて

羊のようにメエと鳴く

 

妻は 自身の寝息に包まれ

ヨーロッパのそれより古く懐かしい都へと

旅立っていった

 

「家族水入らず過ごせた」だなんて、

家長の台詞だったはずだが

気づけば私も所帯を持った。

 

開くことばの風呂敷のうえには

私を含めた3人の小人が、今か今かと、

包まれる時を待ちながら鎮座するのが見えてくる。

 

Kenji Ayabe